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平面バッフル
スピーカにとって限りなく大きな板(平面バッフル)にセットするというのが理想の訳ですが、
できるだけ大きくしたとしても現実的には限りがあり、SPの背面から出た低域は回り込みやすく
前面から出た音波と位相が逆であれば打ち消し合ってしまいます。やはり箱に収めるしかなく、
そこで考案したのですが、箱に収めた場合のそのユニットの適切な容積を保持しつつ、
箱の前面を平面に近づけることにしたのです。
壁に張り付けることで、壁も含めての平面バッフルの効果(直方体のBOXにはない)を期待したわけです。


   

上のスピーカはユニットがMarkAudioのAlpair10v3で、箱は合板を両サイドで富士山状に積み重ねて
削ったものです(下に同じように作った箱の図面あり)。
ユニットの位置、箱の形は黄金比に合わせました(理屈でと言うより気分で)。
必要に応じてサブウーハー(右の白い箱)も用いますが、充分豊かな音で楽しめています。
アンプは、PhilipsのTDA1552Qで自作したものですが(下の写真の上から三段目左側)
極めて安価でありながら、オシロスコープで波形を見るとなかなかの優れモノであることが分かります。
かつて、『オーディオ&ラジオ完全自作』(電波新聞社)に製作記事を掲載しました。



SPは Roiene RA160。あまり知られていませんが名機と思います。
相当古いためエッジを鹿皮で張り替え、後から原型に合わせるべく黒く塗りました。
箱は上のものと同様、平面バッフルを意識して下図のような造りをしています。




アンプは真空管の71Aプッシュプルまたは300Bシングルを使用。
サブウーハーはDaytonAudio の RS225‐8で、箱はバスレフをフロントロードしたものです
(右の写真はその内部)。バックロードも考えましたが、個人的に好みではないので。
がっちり補強したせいもあって納得のいく低域を実現できました。
サブウーハーの上にあるのは3D用のプリアンプ(OPアンプで製作)で、

左右の低域をミックスし、カットする周波数を変えられます。ウーハー用のアンプ(TDA1552Q)を内蔵しています。


     自著『電子工作の基本100』コラムより

◆コラムW『 真空管ステレオアンプの魅力とは?』

  新幹線が猛スピードで快適に走る時代に、SLに乗ってみたいという心境は否定しがたく
誰にもあるものでしょう。オーディオの世界にもこれに似たようなところがあります。

  真空管で作ったら10万円も20万円も掛かるようなアンプよりも、数千円でできてしまう
ICによるアンプの方が電気的な特性はずっと勝っているのです。それでも真空管のアンプを
作りたいというのは、
SLに憧れるのに似た感性ではないでしょうか。        

  写真は直熱管の「71A」という球を使ったプッシュプル(一つの出力段に二本の真空管を使って
パワーアップと歪みの低減を目差した回路)のアンプです。後ろに並んだ黒い四角のパーツは
いずれもトランスで真空管アンプには欠かせないものです。これだけの装備でありながら、
出力は片側
2W程度です。このアンプの場合は、夜静かに音楽を楽しむことを目的として
作ったので少々特殊ですが、同程度のパーツを使ってパワーを優先して作ったとしても
せいぜい
1020W程度のアンプです。それでも、先ほども言ったように、ICなら数千円で
できてしまうアンプの特性には、どうあがいても追い付けないのです。         

  それなのに何故マニアは真空管のアンプを作ろうとするのでしょうか。SLに乗ったときの
気分は絵を鑑賞するのとは違って静止できないものですが、音楽を聴くというのも同じで、
止められない連続的な流れを感性で楽しむものです。従って良い、良くないは絵以上に
全く個人的なものになります。
                                              

  真空管はヒーター(フィラメント)を灯すことで機能します。ですから部屋を暗くすると、
ほんのり赤く灯ります。これは石(トランジスタや
IC)にはありえないことで、
音が暖かく感じられるのです。そうなるともはや物理的な特性など問題ではなく、
至福なひとときを過ごせるのです。
                        



71A プッシュプルアンプ

真空管のステレオアンプは中学生のころからいくつも製作し、いろいろ経験しました。
一番肝心なのは勿論それぞれに個性がある出力管の選択ですが、いろいろ考えられる回路のどれを採用するか、
そしてこれも影響大ですが出力トランスは何を使うか等で、出てくる音に関係してきます(部品の配置の仕方や
配線の仕方でも)。運よくお気に入りの音に恵まれればよいのですが、そうでない場合はまた他の回路でとか、
他の管でとかいろいろ試したくなるもので、下手をすると、一番の目的であるはずの落ち着いて音楽を聴く
ということがいつまでもできずに、またあれやこれや悩むことになります。
それが『趣味』と言うことなのかもしれんませんが。私の場合は今は聴く楽しみを趣味としています。


  


300B シングルアンプ

 憧れの真空管300B のステレオアンプ(この球は畏れ多く最後に試すものとずっと決めていた)。
300Bは目当てのものが入手できず、とりあえず試しにPSVANE 製の安価な管を使用したが、
なかなか出来の良い球で十分満足な音で聴けているのでそのままの状態。
出力トランスはある個人の方の自作によるもので、Yahoo のオークションで入手した(小型軽量でありながら
性能は高級のものと変わらない。実は値段も)。電源トランスはノグチ製で、やはり運よくオークションで手に入れた。
300Bは高価なものは今でも一本10万円以上するようだが、そのようなもので製作するとなると、
アンプの他の全てのパーツをそれに見合うハイクラスのものにし、更には音源のプレーヤもスピーカも、
また音響空間(部屋の造り)もいろいろ考える必要があるのでしょう・・・気分的に感じることではありますが。
この機にDaytonAudioのDC25T-8をツイーターとしてプラス。



 

 
                                   
6AC5-GT シングルアンプ

アンプ は真空管の 6AC5-GT シングル。
SPは Fostex FX120 (エッジを鹿皮で張り替えた)。
6AC5-GTは、GT管のため見た目は地味で見栄えがしませんが、
ポジティブ・グリッド(バイアス電圧が正)という特殊な球でダイナミックカップリング可能です(76と直結)。
−−−『直結』(カップリングコンデンサ不要)というだけで気分的に音質が良いと感じるものです。
仙石原の一室。部屋の造りのおかげか、小さなスピーカの割にちょっとしたホールで聴いているような響き具合で楽しめます。
音響空間(部屋の造り)の影響が大きいことを痛感。

 

 アンプICはPhilips のTDA7056B 。スピーカはPeerlessの55o径のもの。音源はMECHENの音質重視のMP3プレーヤ。
  前面の底に75ox10oで奥行40oのバスレフポートあり。大きさは255ox110ox110oで箱の中には吸音材を少々。
 机の脇に置き、小音量で楽しむ。(本ページの最初の方にある 「電子工作の基本」補記 に回路図等解説あり)



TV用のスピーカ : ユニットはTangBandのW3-1364S(8cm)、箱はバスレフのポートをフロントロードしたもの、
中央にPhilipsのTDA1552Q(22Wx2)によるアンプ内蔵




お休みタイムに聴きながら寝てしまうステレオ。
ユニットはPeerlessの830987(8cm)、箱は15mmのラワン材を12枚重ねて中をくりぬいたもの。
中央はPhilipsのTDA7056B(5W)x2によるアンプとポータブルのミニプレーヤ 。
豊かな音で、きれいな音楽が楽しめる。PeerlessPhilipsのおかげ(そして苦労して作った箱のおかげ?)。



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