今は携帯やカメラなどの電子機器は勿論、洗濯機や炊飯器などあらゆる電気製品
に当り前のようにマイコンが組み込まれています。また人工頭脳を搭載するロボ
ットやゲームとして楽しむ対戦型ロボットなども、みなマイコンで制御していま
す。
例えば全自動洗濯機は、特別な設定をしなければ、ボタン一つで勝手にすべての
行程をこなしてしまいます。センサで洗い物の量を判断し、水の量や洗い、すす
ぎの時間などもみな自動的に設定して実行します。洗濯機に限らず、炊飯器にし
ろファンヒータにしろ、みな自動が当り前になっています。これらにはマイコン
が搭載され、すべて自動的に動作するようなプログラムが書き込まれているので
す。カメラや携帯などには極めて高性能なマイコンが使われているのでしょう。
マイコンとはどのようなものか、いきなりですが、まず写真でその容姿をお見せ
します。写真1は「Z80マイコン」です。右側の足が何本もある四角形のものが
CPUのZ80です。開発された1976年からつい最近まで(ちょうど2000年頃まで)、
マイコンと言えばこのZ80マイコンのことを指すというくらい、長い間マイコンの
代名詞的な存在でした。写真2は「PICマイコン」の16F84(今はスピードアップ
した16F84Aが主流)です。PICマイコンは、現在マイコンに取り組む人たちの間で
一番良く使われている代表的な存在です。両者は全く異なる形状をしていますが
、このあと説明するように中身はよく似ています。
マイコンとはマイクロコンピュータの略ですが、通常のパソコンを小型化したも
のと考えれば良いでしょう。写真1、2にあるように、名刺ほどの大きさの基板
や指先ほどのチップに、一般のパソコン同様、CPUを始め、プログラムを書き込
むメモリー(ROM)やプログラムを走らせるためのメモリー(RAM)など、いず
れも小規模ながら搭載しています(写真1のZ80は左側がROMでRAMはその下に隠
れている)。また、外部と信号をやり取りするための出入り口(信号をInput、
OutputするとことからI/Oと呼ばれる)を多く備えています。上記のマイコンの場
合も、端子やピンがたくさん見えますが、その多くがこのI/Oです。I/Oを入力用
に設定してスイッチやセンサなどをつなげば、外部からの信号を取り込むことが
できます。I/Oを出力用に設定してLEDをつなげば、プログラム次第でいくらでも
複雑な点滅が可能です。同様にモータをつなげば、回転を自由にコントロールで
きます。つまり何かを自由に動かすことができます。また液晶の画面に文字を表
示することもできますし、電光掲示板だって作れます(Z-9)。つまり、I/Oの
先につなぐものが、一般のパソコンのキーボードやディスプレイに相当します。
現在はいろいろなメーカーから各種マイコンが一般向けに商品化されていますが
、代表的な(有名で人気の高い)マイコンと言えば、先ほどのPICマイコンと写真
3の「H8マイコン」です。H8マイコンはZ80マイコン同様小さな基板上に組み上
げられていますが、機能は大幅にアップしています。手軽さから一番多く使われ
、参考書も多いのがPICマイコンですが、高機能のロボットなどはH8マイコンが使
われるようです。
いずれにしても、プログラムを自分で作成できるようになり、そのプログラムを
マイコンのROMに書き込むことができるようになれば、マイコンを自由に活用で
きることになります。昔だったらそんな夢のようなことが(事実Z80マイコンは入
り口の敷居がかなり高かった)、今では誰にも手軽に取り組めるようになってい
ます。
誰かが作成したプログラムをそのままマイコンに書き込んで楽しむだけなら、そ
のための装置を用意すればよいわけで、それこそ簡単にできます。しかし、マイ
コン活用の一番の楽しみは、なんと言っても自分でプログラムを作成するところ
にあります。
マイコンが使いこなせるようになると、ICで作ったら回路の作成に非常に苦労す
るようなもの、あるいはICではどうあがいても実現できないものなどが、嘘のよ
うに簡単にできてしまいます。次項のZ-2以降、マイコンの活用法を紹介してい
きます。